まだまだ、暑い夜。
私は、霊界の話や怪談など不思議な話が好きで、ゾクゾクというかワクワク楽しくなります。
私の生まれ故郷である鳥取県。
鳥取県には数々の心霊スポットがありますが、今回は怪談話をご紹介。
苦手な方はご注意を。
鳥取県のシンボルの一つ大山。
中国地方最高峰この形から伯耆富士(ホウキフジ)、古来より『大いなる神の在ます山』といわれています。
大山を後にして車で向かう事と40分。
山間にあるこの町が目的の鳥取県日野郡日野町この町に残る伝説『首がもげる滝』
日野町の不動ヶ嶽一帯は古より霊場として信仰された場所です。
伝説が宿るのはその一角にある瀧山神社の龍王滝(幽霊滝)。
「小泉八雲」が紹介した八雲怪談”幽霊滝の伝説”
村にある集会所で女たちがせっせっと仕事をしていた。
女たちにとって縄を編んだり麻をとったりすることは農作業以外に大きな収入だった。
日々の仕事を終えた女たち。すると一人がとんでもないことを言い出した。
「なあ、これから一人だけ幽霊滝に行ってみないか」と。
もし行く人がいれば今日編んだ草履をあげると言う。
みんなは考えた。
そこに行くには細くて暗い寂しい山道を登って行かなくてはならない。
誰もが行くまいとそう思った時、
「あたいが行く」と言い出した者がいた。
声を挙げたのは赤子を抱いた大工の女房・お勝だった。
「本当に今日作った分くれるんだね」と念を押し、
「だったら、あたいが行くよ。その代わり編んだ草履全部もらうよ」と言った。
一日働いた四人の稼ぎをお勝は、生活の為にどうしてもほしかった。
その中の一人が「幽霊滝に行ったという証拠がほしい」といい、また一人が「お賽銭箱を持って帰ればいい」と言い出した。
「それがいい証拠になる。」
お勝は幽霊滝に行った証拠に賽銭箱を持って帰ることになった。
幽霊滝の脇には小さな社があった。
そこには賽銭箱が一つ。
それを持ち去れば、神様の罰があたっても不思議ではない。
お勝は眠った子を背負い滝を目指したのだ。
この時は、あんな事になろうとは夢にも思わなかった。
お勝は「大丈夫、大丈夫、たかが賽銭箱じゃないか」とつぶやきながら山を登って行った。
お勝は一人で幽霊滝にたどり着いた。
そして社へ。
賽銭箱をみて、これさえ持って帰れば草履は全部自分の物・・・
そう思った時、滝の方から「お勝!」と呼ばれた気がして後ろを振り向いた。
誰もいない・・・
気のせいだと思い賽銭箱に手をかけようとした時、大きな声で「お勝さん!!」と怒ったような声がした。
今度ははっきりと聞こえた。
お勝を戒めるような声だった。
それでもお勝は震える手で賽銭箱を抱え山を下っていった。
皆が待つ集会所に着き勇気あるお勝に駆け寄り出迎えてくれた。
これが賽銭箱だと言い置いた。
「これは確かに幽霊滝の賽銭箱だ」
皆はお勝に、
「あなたは凄いよく賽銭箱を持ってきたね」
「あんたは肝が座っている」
女たちは全部編んだ草履をあげるよと言い、お勝の勇気ある振る舞いを賞賛した。
草履は全てお勝のものになった。
赤子も疲れているからと赤子を背中から降ろそうとした。
降ろそうとした女の一人がきゃ~と叫びだす。
「首が首が・・・」と叫んでいる。
慌てたお勝がおぶっていたわが子を降ろして見たものは、わが子の体だけ首から上はもぎ取られていた姿だった。
幽霊滝の伝説から学ぶ倫理観
「幽霊滝の伝説」いかがでしたか?
八雲怪談の中でも「幽霊滝の伝説」は、恐ろしく残酷な結末を迎えるお話です。
この話は、幽霊滝の横に全文が看板に記され、今でも語り継がれています。
いくら生活のためとはいえ暗い山道を赤子背負い、神様のお賽銭を持って帰るのはいけないこと。
神様が再三、警告しているのにもかかわらず神様の言葉を無視した罪。
お勝にとって一番大事なものを奪われることにより改心させられた。
でも、こういう伝説の中には人間が忘れてはいけない倫理観の教えがあるんですね。