BSで放送していたドラマ「女の一代記スペシャル~瀬戸内寂聴~」を観ました。
宮沢りえさんが瀬戸内寂聴役を見事に演じていて世界に引き込まれました。
瀬戸内寂聴さんは、天台宗の尼僧で、作家活動をされています。
今は「不倫」となれば、過激なバッシングの的となり仕事を失うほどにまで追い込まれる時代。
もちろん昔から不倫は悪いことでしたが、最近は異常とも思えるほどの制裁が待っています。
その正反対とも言える発言。
「本当の恋愛の醍醐味は不倫だ」と言い放つ瀬戸内寂聴さんが女性達に人気の理由。
ドラマを観たことで少しわかったような気がしました。
女の一代記スペシャル~瀬戸内寂聴~
1922年生まれの95歳。
病気されても復活力が早くエネルギッシュ。精神力が素晴らしい。
だけど2度も自殺未遂をしているというから、それだけに波乱万丈の人生を送っています。
出家する前に寂聴の姉と四国のお遍路にお参りしている。
お参りの道中二人は、いろいろな話をしました。
寂聴:「人の愛情って所詮人を幸せにしないのではないか、人間に無償の愛ってあるのかな・・・」
姉:「私はあると思うよ、子供や孫の為だったら命ぐらい喜んで捨てられるんじゃないかな・・・」
寂聴:「人は死ねるからいい。人形やったら死ぬことも出来ないもんね・・・苦しくても、ず~とず~と生きていかなければ、いけないんだから・・・」
姉:「寂聴にあんた苦しいの・・・寂聴は書くことでは救われん・・・姉は人はいろいろ言うだろうけどな私はあんたは、ホンマは真面目な子やと思っているよ、真面目で正直でほんまに、優しい子や」
姉はそう言って寂聴を励ました。
むしろ肉親や愛欲に執着すればするほど、その息苦しさに耐えられず全てを投げ打つ出家という荒行に走るのかもしれない。
寂聴が助けを求めたその人は著名な作家であり政治家であり、そして天台宗の僧侶でした。
今は亡き、今東光です。
寂聴は「東光に出家したいのです」と切り出す。
東光は寂聴に「男はどうする」と尋ねた。
「断ちます」と答えた寂聴に一つ返事で分かったと返した。
寂聴は、別に剃らなくてもいいと言われたが髪を剃った。恋の重荷を下ろすために。
51歳の時、髪を剃り出家した。
この時に寂聴という名を頂いた。
出家して6年後、恋人だった一人は舌がんで亡くなった。
その12年後、もう一人の男は事業の失敗で首をつって死んだ。
そして、寂聴も現世に生きるものではない。
出家とは生きながら死ぬ事。だからこれが寂聴の行きついた場所であるのでしょう。
寂聴は語る。
「出家したのは自殺をしないため、出家とは生きながら死ぬ事と・・・」
出家とは自分でしようと思っても仏縁がちゃんとかもさなければ出来ない。
80歳になっても90歳になっても誰かを好きになる事。
情熱という言葉が好きで情熱のない人生はいやだと恋愛するなら情熱的にしてほしいと雷が落ちてくるようにある日突然に落ちてくる、だから面白いと寂聴は今も語る。
女の一代記スペシャル~瀬戸内寂聴~を観た感想
寂聴は正直者で心に嘘をついて我慢することが出来なく、いつも熱い人で、若い頃小さな幼子を置いて出てきたという女性。
人生の辛い事、悲しい事、嬉しい事、全部知っているから、情熱的な寂聴にひかれて彼女の説法を聞きにくるのかもしれません。
彼女は95歳になっても嘘のない情熱的な人。
このドラマの中で歌われていた中島みゆきの「命のリレー」が凄くこのドラマに合っていました。ちょっと曲が流れすぎかなと思う点もありましたが、凄くいいドラマでした。